以前UPしましたFireその1の続きとなります。
今回も内山FP総合事務所の内山代表に語っていただきました。
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今回のお金のはなしは「Fire」について。
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外貨建て金融商品は、国際情勢の変化等により円安が進行する場合のリスクに備えるための投資手法、つまり投資の掟の一つである「分散」の効果が得られる手段として有用です。その内の一つとして、前々回の記事において「外貨預金」を紹介しました。今回はその他の外貨建て金融商品である「外国債券」への投資について見ていきましょう。
外国債券投資の魅力は、利率の高さです。円建てでの預貯金はいうまでもなく、以前お伝えした、日本国政府発行の「個人向け国債」で最も利率の高い10年変動金利型であっても、利率は0.6%程度であるのに対し、米国債では約2%、新興国の国債では6~8%程度の利率が得られるものもあります。(なお利率の高い国債には、それなりのリスクも伴うことにも留意しておく必要がありますが、詳しくは後述致します。)
債券には、利子が付く「利付債」と、額面金額から利子相当分が割り引かれた価格で発行され、満期時に満額で償還される「割引債」(ゼロクーポン債ともいう)があります。
利付債を保有している期間中は、毎年1回又は複数回に分けられ、利払いとしての配当が得られるようになりますが、受けた配当金をそのまま更に同種または他種の金融商品に回していくように仕組みを作っておけば、もう一つの投資の掟である「複利」の効果も着実に得ることができるようになるでしょう。
また、外国債券には、円建てで発行される債券、いわゆる「サムライ債」と、発行体の国の通貨で発行される外貨建ての債券「ショーグン債」があります。既に外貨預金口座をお持ちの方は、「ショーグン債」の購入を検討してみるのは如何でしょうか。万一円安が進行していった場合においても、外貨預金と同様、円換算にあたり為替差益が得られるため、リスク分散効果を維持することができます。併せて、外貨預金以上の高い利回りを期待することもでき、有用な投資手法の一つとなり得るでしょう。
外国債券の取引にあたっては、まず初めに外国証券取引口座を開設する必要があります。近年大きく発展、進化を遂げつつあるネット系証券会社の多くは、スマホや自宅のパソコンから簡単に検索、申込手続を行うことができ、取引に当たっての売買手数料も安価であるため、お勧めです。外国債券に加え将来的に外国株式の取引を行う可能性も見据えつつ、取扱う銘柄の種類・数や、売買手数料、サポート態勢、スマホアプリの使いやすさ等から、自分のスタイルに合った好みの証券会社を選ぶとよいでしょう。
なお、外国債券の保有にあたっては、併せて生じ得るリスクについても十分承知しておくことが必要です。例えば、前述の円安とは逆に、もし円高が進行していけば債券価格が下落することもまた事実であり、これは「為替変動リスク」といわれます。その他、一般的に挙げられるリスクは以下の通りです。
政情不安定な国におけるクーデター等、急激な政治・経済情勢の変化に伴い、その国が発行する債券の価格が変動したり、利払いの履行に影響が及ぶリスク
市場金利の変動等により債券価格が変動するリスク(一般的に市場価格が上昇すると債券価格が下落する一方、債券の利回りは上昇する。)
取引量が少ない債券などにおいて、買い手がつかずすぐに売却・現金化できなかったり、希望価格で売却できなかったりするリスク
これらを踏まえると、当初取り組むに適当な外国債券として、例えば、米国債は種々のリスクにも比較的バランスよく対応し得る安全なものが多いといえます。
まずは、この米国債の中から自分に合う銘柄を選定し、資産の一部を振り分けることを検討してみるのも一案でしょう。
公務員や会社員の方々は、毎年度末に職場で源泉徴収の処置が行われるため、不動産投資や株・FX等のトレードに取り組んでいない限り、確定申告を行う必要性に駆られることもなく、そもそも何をどのようにするものかも知らない方が多いのではないでしょうか?
私も同様に、FP資格取得を目指すまでは、確定申告など遠い世界のもので、興味すら持っておらず、ただただ職務にまい進しておけばいいものだと思っていました。
ところが、公務員・会社員であっても、一歩進んで確定申告を行うことにより、節税効果が得られることが多くあります。それが「医療費控除」の手続きです。知らずに何もしなければ、毎年戻ってくるべき過払い税額分のお金を見捨ててしまうことになります。是非、医療費控除に係る確定申告の知識を身に着けておきましょう。
「医療費控除」とは、その年に支払った医療費の合計額が、課税所得額から控除され、その分、税金が安くなるものです。つまり、毎年末に職場で年末調整が行われ、給与に上乗せされる還付額に併せて、更に過払い税額分が明らかとなり、別途還付を受けることができるものです。この医療費控除額の算出式は以下の通りです。
医療費控除額=(年間の医療費支出額-保険金等で補てんされる金額)-(10万円又は総所得金額×5%の何れか少ない金額)
まず、「年間の医療費支出額」とは、その年の1月1日から12月31日までに支払った金額であり、その対象は本人のみならず、扶養する配偶者、子供、親族も含めることができます。対象となる医療費は、医科・歯科の治療、入院、通院費用であり、ガン等への先進医療の技術料も含まれます。また、出産費用、医薬品代、付添看護師による療養上の世話代等も含めることができます。反対に、対象とならないものは、美容整形費用、健康増進等のための医薬品(サプリ等)、人間ドッグ等の健康診断費用(但し、これにより重大な疾病が発見され引き続き治療を行う場合は対象とすることが可)等です。
次に、「保険金等で補てんされる金額」についてですが、例えば個人で医療保険に加入していて、入院等による見舞金が支払われた場合はこれに当てはまります。また、出産にあたり受け取る健康保険の出産一時金も該当します。これらが医療費支出額から相殺されることになります。
最後に「10万円又は総所得額×5%の何れか少ない金額」についてです。分かりやすくいえば、年間の総所得額が200万円以上の方々は、相殺された医療費支出額から更に10万円が一律に差し引かれます。つまり、「控除される医療費支出額は10万円以上に限る」という意味であり、一般的な公務員・会社員の場合は、ほぼこのケースに該当すると覚えておけばよいでしょう。ただ、所得の低い家庭に対しては別途の算出措置があり、例えば年間100万円が総所得の場合は、「5万円以上の医療費支出額を控除の対象として認める」ということです。
それでは、公務員Bさんの家庭を例に、確定申告をしっかり行って医療費控除の処置をした場合、どれくらいの金額が還付されるか、その節税効果を実際に計算してみましょう。
Bさんは幹部自衛官任官7年目の29才、昨年の課税所得金額は550万円でした。一昨年には婚活を通じて知り合い意気投合した女性とめでたく結婚し、昨年に第一子に恵まれました。Bさんの奥様はしっかりした方で、妊娠中から出産までに要した診療費、入院費、医薬品代、交通費等の領収書をすべて整理して保管していました。その合計額は42万5千円でした。また、受け取った出産一時金は40万円でした。
また、Bさんは昨年、歯科治療を4カ月ほど続け、合計5万円の治療費を支払いました。
その他、風邪や花粉症等の治療のため、Bさん夫妻は月に平均1回程度通院し、その診療費、処方された医薬品の合計額は2万4千円でした。
Bさんは都会勤務であることもあり、自家用車をもっておらず、通院のためにバス又は地下鉄を利用しており、一回の通院で往復約700円がかかり、夫妻での通院のための交通費年間合計額は2万1千円でした。
これらを踏まえ、上記の算出式に基づき、「医療費控除額」を計算していきます。
年間の医療費支出額は、(425,000+50,000+24,000+21,000-400,000)-100,000となり、その答えは12万円です。
次に、所得税額は、超過累進税率として法律に定められています。330万円超695万円以下の税率は20%となり、課税所得金額550万円のBさんの場合はこれに当てはまります。
よって、20%の税金が科せられるBさんの所得より、今回は更に12万円分が医療費控除されるため、単純計算で、約2万4千円が過払い税額分として還付される計算となります。
このように、知らずに放っておけば得られなかった節税効果ですが、確定申告をしっかりと行えば、相当の額の還付を受けられることになります。特に、今回のBさんのケースの様な出産や、例えば今後万一、大きな怪我や病気により、医療費の出費がかさんでしまった場合等、人生の大きな結節時には、その額は無視できないものになることもあります。
確定申告の実施要領ですが、住民票のある税務署に出向く他に、国税庁のホームページから手続きすることもできます。特に、近年はe-taxという全てオンラインで申請手続が完結できる便利なシステムが確立し、マイナンバーカードがあれば簡単に行うことができる様になりました。ちなみに、この還付額の受け取りは、指定した本人名義の銀行口座への振込や、郵便局窓口での現金による交付等を選択することができ、オンラインでの手続きの場合は、一般的にだいたい2~3週間で処置が完了します。
確定申告の手続きは、初めての場合は少々戸惑うかもしれません。でも、一度やってみれば次年度からは、休日の数時間を使い、移動や窓口に並ぶといったストレスもなく、非常に軽易に行うことが出来るようになるでしょう。
更に、今後、不動産等の投資を行う場合や、退職後、自分で事業を起こす場合等にも、確定申告の基礎的な知識や経験があるのと無いのでは大きな違いが出てくるでしょう。
まずは医療費の領収書等をしっかりと保存しておき、年度末の2月16日から3月15日までの期間に行われる確定申告の手続きに、是非、チャレンジしてみましょう。
外貨建て金融商品とは、保有する資産(円)を、米ドル、ユーロ等の外貨に交換して運用するものであり、投資手法の基本・基礎である「分散」の幅を、「通貨」の要素でより拡大することができるものといえます。
つまり、株式、債券、投資信託等、複数の金融商品に資産を分散していたとしても、それが国内通貨の日本円建てのみであった場合、仮に国際情勢の変化等により円安が進行、輸入品の価格高騰により国内の物価が上昇していった場合、その資産価値は全体的に目減りしてしまうことになります。このような折、日本円建てと併せて外貨建ての金融商品を保有していれば、外貨建て資産は円建て資産に相対して増大することになるため、この様なリスクにも広く備えることができるようになるのです。
それでは、今回は外貨建て金融商品の中でもより分かりやすく、比較的簡単に始めることができる「外貨預金」について見ていきましょう。
日本円での預金と同様、外貨預金にも普通預金と定期預金があります。まずは金融機関に外貨預金口座を開設する必要がありますが、手数料が安く、軽易に手続きや取引ができるネット系銀行等から自分に合ったところを探してみるのが良いでしょう。
外貨預金のメリットは第1に金利の高さです。円での定期預金の場合、条件の良いネット系銀行でも1年ものでせいぜい約0.2%程度の金利であるのに比し、米ドルでの定期預金では、同一条件で約0.5%程度の金利が設定されています。また、将来にわたり見通される為替変動リスクをよく考慮する必要がありますが、ニュージーランドドルの場合、約1%、南アフリカランドの場合は、約3%もの金利が得られます。長期運用すればするほど、その差は見逃せないものになるといえるでしょう。
第2のメリットは、前述のとおり、円安の場合は為替差益が得られることです。ただし裏を返せば円高の場合は差損となるため、リスクとして含みおいておく必要もあるでしょう。
反対にデメリットとして挙げられるのは、まず為替手数料がかかることです。また、円から外貨への交換にあたってのレート(TTS:Transfer Selling Rate)と、外貨から円への交換レート(TTB:Transfer Buying Rate)は、日々の為替変動に基づきそれぞれの金融機関で定められますが、預金の引き出しにあたってはその差分が差し引かれることになることも予め考慮しておく必要があります。
もう1つのデメリットは、預金保護制度(ペイオフ)の対象とならないことです。円預金の場合は、預入金融機関が破綻した場合でも、1000万円以内であれば元本とその利息分が法的に保護されますが、外貨預金はこの対象とはなりません。
よって、預け入れを始めるにあたっては、為替手数料と、交換レートの差分が出来るだけ抑えられるとともに、将来破綻する恐れの少ない信頼できる金融機関を選定することが重要です。
では、外貨預金で得られる利益の一例をケーススタディ的にみてみましょう。
Aさんは、S銀行に昨年の2021年1月某日(当日のS銀行におけるTTS:103.30、TTB:103.10)に、1万米ドル換算で外貨定期預金(1年もの:金利0.5%)への預け入れを開始し、今年の2022年1月某日(同TTS:115.20、TTB:115.00)に満期を迎え、これを引き出したとします。この場合の運用利益の計算は以下の通りです。
預入時の円/ドル交換のTTSは103.30のため、1万米ドル換算のために103万3千円を預け入れることになりました。1年後、金利0.5%がつくため、預入額は合計1万5百米ドルになっています。なお、円預金と同じく、得られる利子には20%の源泉分離課税が科せられるため、税引後の預入額合計は1万4百米ドルです。これがその時のTTB 115.00で円に換算されるため、満期解約により引き出される合計額は119万6千円です。
こうして、1年前に運用を開始した元本から、得られた利益の額は16万3千円、約16%の年利回りとなりました。
この1年間は全体的に大きく円安の方向に進んだため、Aさんはこの外貨定期預金で大きな利益を得ることになったのです。
このように、適切に将来を見通すとともに、制度の仕組みやリスクをよく理解して取り組めば、外貨預金は手近で有用な資産形成手段の一つになるといえるでしょう。
国債とは、政府が発行する「債券」のことです。この債券も株式と同様に、市場において売買されるため、価格の変動があり、購入後に値下がりすると元本割れしてしまうリスクもあります。ただ、様々な種類の債券のうち、「個人向け国債」は国が額面金額を保証するため、この元本割れリスクが無く、従って安全性の高い投資手法といえます。特に、超低金利が続く現在の日本においては、「預貯金」よりも利回りが高く、安全性も担保されている「個人向け国債」は、魅力ある資産運用手段の一つといえるでしょう。
現在、発行されている「個人向け国債」には、3年固定金利型(金利0.03%)、5年固定金利型(金利0.05%)、10年変動金利型(金利0.66%)の、3つの種類があります。何れも、最低1万円から購入でき、利子の受け取りは半年毎、発行後1年経過すればいつでも換金可能であり、投資初心者にとってもハードルは低いものといえるでしょう。一度、ネット証券会社に口座を開設しておけば自宅にいながら売買の手続きをすることができます。特に、10年ものの金利は、超低金利時代といわれる現在、「預貯金」の一般的な利率と比べても高率であり、魅力は十分にあります。
このように、「預貯金」と同様の安全性があり、利回り等の条件も魅力的な個人向け国債ですが、保有にあたっての注意点は以下のとおりです。
まず、満期前の中途換金を行う場合、直前に受け取った2回分(1年分)の利子を返す必要があり、これが差し引かれた額が手元に戻ってくることとなります。これを踏まえた着意の一例として、何年後かの決まった時期に必要となると見込まれる学資、車の購入費用、記念旅行代等のための必要額を、この個人向け国債の満期となる期間と整合させて保有しておき、できるだけ中途解約することの無い仕組みを作っておくことも一案でしょう。
もう一つは税金です。預貯金と同様、国債の利子受け取りの際には、源泉分離課税として、所得税15%+住民税5%、併せて、2037年までの時限措置として「復興特別所得税」が所得税額に更に2.1%加算され、合計20.315%の税率が利子額に課せられて差し引かれることとなります。保有にあたり予め計算にいれておくべきでしょう。
今回説明した「個人向け国債」は、元本割れリスクの無い、投資初心者と相性の良い資産運用手法ですが、この他、市場では数多くの債券が売買されており、その利率は1%以上のもの、場合によっては5%以上のものも存在します。もちろんそれぞれの銘柄の内容や、表面利率、保有期限等を踏まえ、実際の利回りを正確に計算するとともに、予期され得るリスクも勘案しておく必要があり、ある程度の知識や経験を要する取り組みとなります。投資初心者の方々は、まずは今回紹介した「個人向け国債」の保有を少額からでもスタートし、興味と関心を維持していくことが次のステップへの繋がりとなっていくことになっていくでしょう。
自らの資産の現状把握を通じ、特に理由もなく「預貯金」が資産の大多数を占めているということであれば、まずは一部の資産をこの「個人向け国債」に分配してみては如何でしょうか。
「預貯金」は、様々な投資手法の内、最も馴染みの深い金融商品です。元本が確実に保証されるため、安心・安全な手法として、殆どの方が口座を開設して貯蓄を行っていることしょう。ただ、実際にどれほどの利子が得られるのかは、大まかなイメージしか持たれていない方も多いのではないでしょうか。是非一度、正確に計算してみましょう。
低金利の現在、定期預金の利率は、大手のメガバンクにおいては0.002%と極めて低くなっています。ただし、地方銀行やネット系銀行を上手く探せば0.2%程度の条件で預け入れることも可能です。
得られる利子の種類には単利と複利があり、複利には、利子が元本に還元される期間によって、1カ月複利、半年複利、1年複利等があります。(複利の偉大な効果については以前記事で紹介した通りです。)
半年複利の場合、得られる利子と元本の合計額(元利合計)は、以下の計算式で求められます。
〇 元利合計=元本×(1+年利率/2)預入年数×2
これらを踏まえ、Aさんのケースを事例に、定期預金から得られる中長期的な利子を正確に算出していきます。
Aさんは30才までにコツコツ貯めてきた100万円をネット系S銀行の定期預金に預け入れることとしました。条件は1年満期で年利率0.2%、半年複利型です。これらを踏まえ、上の計算式を適用すると、1年後のAさんの手持ちとなる元利合計額は、1,000,000×(1+0.001)2=1,00,2001となり、2,001円の利子が得られることとなります。
単純計算で、10年後には20,191円、20年後には40,789円、米寿の88才となる58年後には、122,930円の利子が得られることとなります。(余談ですが、バブル期の過去最高利率は8%でしたので、この時代における10年後の利子は1,191,123円と、元本の倍以上になる計算でした!)
ここで考慮に入れなければならない重要な要素が税金です。預貯金から発生した「利子所得」には、支払いを受ける際に自動的に差し引かれる「源泉分離課税」が課せられ、その税率は所得税15%+住民税5%となっています。なお、2037年までの時限措置として、「復興特別所得税」が所得税額に更に2.1%加算されるため、利子所得に課せられる税率の合計は現在、20.315%となります。
これを踏まえ、Aさんが得ることのできる税引後の正確な利子を改めて計算してみます。
1年後に得られる利子2,001円に課せられる税金は407円となり、税引後の利子は1,594円と算出されます。同様に、10年後は16,089円、20年後は32,502円、58年後は97,956円がそれぞれ税引後の利子となります。これらが得られる利子の正確な値です。
このように、中長期的に得られる利子の正確な額をつかむことにより、ライフプランニングをより正確かつ具体的に行うための一助とすることができます。また、前回記事でお伝えした投資手法の基本的キーワードの一つ「長期」、つまり時間を味方につけることにより、低金利の預貯金であっても、有用な効果を得られることも計数的に見て取ることができます。そして、僅かな金利の差や、預入金額の大小によっても、長期的な視点にたてばその運用効果には大きな違いが生まれてくることも、具体的に明らかになってくると思います。
一度、現状における預貯金の金額、条件等を把握、算出された正確な利子の数値をもとに、自らのライフプランに想いを馳せながら、改めて今後の貯蓄の目的、目標を見定めてみてはいかがでしょうか。
定年退職後、手にした多額の退職金を、何の基礎知識もなく、他人から勧められるがままに、脈絡なく、目の前の金融商品に手を出すようなことがあってはなりません。投資を始めるにあたっては、基本的な手法を押さえておく必要があります。そのキーワードは、「分散」及び「長期」です。
まず、「分散」についてです。
投資先となる金融商品には、様々な種類のものがあります。我々にもっとも馴染みの深いものは、預金・貯金でしょう。当初預けた金額(元本)が必ず保証されることから「貯蓄型金融商品」と称されます。ただし、得られる利率は少なく、低金利の現在においては一般的に0.001%程度、高金利のネット系銀行定期預金でも0.02%程度の年利となっています。
次に、国や企業等発行の借用証書を購入する「債券」です。安定した国家や業績が好調な会社の債券は市場価格の上昇が期待できる一方、万一、経済破綻や業績低下が生起した場合、値下がりにより元本割れをする可能性もあります。このように、ある程度のリスクはあるものの、それに応ずる相当の利子も得られ、例えば現在、日本国債10年ものだと0.06%、米国債10年ものは1.4%、少々特殊なハンガリー国債10年ものでは3.4%の年利回りとなっています。
その他には、株式(日本国内株式、米国株等の外国株式)、投資信託、金投資、デリバティブ取引(現物市場と連動して価格が変動する金融派生商品。FX等もこの一種)等があります。また、金融商品の分類ではありませんが、不動産も投資先の一つとして挙げられます。
これら列挙した金融商品等には、リスク率に相関する利益率(リワード)、経済・社会情勢との相関関係(例えば、投資信託の中には、平均株価が下落している時に逆に価格が上昇する「ベア型」という商品もあります。)、資産の流動性(現金化の容易性)等、様々な特性、価格変動の要因があります。ここで重要なのが、ある一つの金融商品に資産を集中させるのではなく、異なる特性を有する複数の金融商品に分散した投資を行い、経済・社会情勢等の変動に伴う資産への影響を緩和し得る態勢を取っておくということです。このように、複数種類の資産へ配分を行うことを「アセットアロケーション」といい、それにより資産運用を行うことを「ポートフォリオ運用」といいます。
前回記事で、「複利」は、時間をかければかけるほどその効果は右肩上がりに増大していくことが期待できるのはお伝えした通りですが、改めて、もう一つのキーワード「長期」についてお話しします。
例えば、株式は日々価格が変動し、その幅は場合によっては大きく振れることもあります。
個人投資家が陥りやすい典型的な失敗の事例として、この様な短期的な変動に一喜一憂、価格が高騰したのに飛びつき多額の資金を投入すると、その反動で価格が急降下、元本からのマイナスが大きく膨らむのを目の当たりにし、これ以上の目減りは耐えられないと売り逃げると、今度はそのとたん価格が急上昇、「このまま株式を保持していれば相当の利益を得られたのに」と二重の後悔におそわれる、といったことがよくあります。生半可な知識や経験で、短視点での取引を行い資金を失ってしまう代表的な例です。
長期的な投資とはつまり、このような価格が変動する金融商品を、感情に支配されず、定期的に、かつ一定金額ずつ購入するということです。これにより、価格が高騰している時は少量を、逆に価格が下落している時は多い量の購入を行うことができるため、長期的には安定した収益が期待できることになります。この手法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、積立手法の基本となるものです。なお、国の金融施策である「つみたてNISA」は、正にこの「ドルコスト平均法」を原則としたものです。
投資を始めるにあたっては、この「分散」と「長期」を基本・基礎とし、感情(欲望と恐怖)に支配されて、貴重な資金と時間を失うことの無い様、心掛けていきましょう。
資産形成のための投資手段として、不動産投資の他、様々な種類のものが世の中にはあります。
まず代表的なものとして、株や投資信託が挙げられます。最近はネット証券会社に簡単に口座を開設し、極めて低い手数料で、手軽に株式等の売買が出来るようになりました。現在国の税制優遇政策として施行されている、「つみたてNISA」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の制度を活用し、これら金融資産の着実な積立を行うことは非常に有用です。その他、国債、外貨建て金融商品(外貨預金、外国株、外国債券、MMF等)、金投資、近年注目され始めている融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)、少々特殊なものとしては、FX(外国為替証拠金取引)、暗号資産取引等、数多くの手段があります。どの手段をどれくらいの比率で選択するか(どの程度のリスクを許容しながらどれほどのリターンを狙うか)は慎重に考慮する必要がありますが、それはさておき、本記事においては、投資一般から得られる利益として、どの程度の効果が期待できるのか、例示的にお示ししたいと思います。
資産を運用して1年間で得られる利益は「年利」と称されます。例えば、Aさんが某ネット銀行の定期預金に100万円を預け、1年後に2千円の利息を得たとすると、この年利は0.2%ということになります。
一般的に、個人投資家が目標とすべき年利は5~10%程度といわれており、仮にAさんが100万円を株式等に分散投資して年利5%を達成したとすれば、1年後には105万円が手元に残る計算となります。さてこの時点でのAさんの方針として、引き続き同様に100万円を投資運用するのか、それとも利益を含んだ105万円を投資運用するのか、何れが望ましいでしょうか。前者は「単利」、後者は「複利」と称されます。
前者の「単利」の場合、2年後には同様に5万円の利益を得て、手元には110万円の資金が残り、以後、単純計算で10年後には150万円、20年後には200万円、30年後には250万円の資金を手にしていることになります。
次に、後者の「複利」の場合、得られる利息が元本に含まれて再投資されるため、2年後に手元に残るのは110万2500円となります。あまり大きな差は感じられないかもしれませんが、これが10年後まで同様に繰り返されるとすると162万円、20年後には256万円、30年後には432万円もの資金が手元にある計算となります。
更に、Aさんが個人投資家として成功し、目標である年利10%を達成すると仮定すれば、1年後には100万円が110万円、2年後は単利で120万円、複利で121万円、10年後は単利で200万円、複利で259万円、20年後は単利で300万円、複利で672万円、30年後には単利で400万円に対し、複利では1745万円もの資金を手にすることとなります。
複利効果の偉大さがお分かり頂けたでしょうか。あの天才物理学者・アインシュタインも、この「複利」を「人類最大の発明」と評したとも言われていますが、利率が高くなればなるほど、また時間をかければかけるほど、複利の効果は正に右肩上がりに増大していくことを見てとることができると思います。
今回ご説明した複利効果は、元本金額に対し経過期間に応じた係数を乗じることで簡単に算出することができますが、この係数を専門用語では「終価係数」と称します。この「終価係数」一覧表はネット上で容易に入手することもできますし、またはこの係数を用いた複利効果を簡単に計算できるサイトも数多くあります。ご自身の資産運用上の目標金額を定め、これを達成するための投資戦略を練る上で是非活用してみて下さい。
繰り返しとなりますが、世の中に数多くある投資手段には、それぞれに異なる特性があり、運用にあたっては十分に注意しなければなりません。たとえば、株価には大きな値動きがあり、預貯金の様に元本が保証される訳ではない為、生半可な知識だけで日々高額な株式の取引をしていては、ほぼ確実に資金をすり減らしてしまうことになるでしょう。職務に専念すべき日中にも常に株価に気を取られてしまっては、これは将来を見据えた有形・無形資産の形成手段としては本末転倒な状態です。また、FX等は、成功すれば年利どころか月利数10%の利益を得られる可能性もある一方、規律あるトレードを行うための知識・手法、感情的にならない強いメンタル等がなければ、資金を一気に吹き飛ばすことにもなりかねません。一説では、この世界で1年間に生き残る個人トレーダーは1割程度、更にその先10年間生き残るのは、そのまた1割程度とも言われています。
様々な投資手段の内容については、また別の記事において、個別的テーマとして逐次解説していきたいと思います。
定年年齢が早い自衛官にとって、退職後の備えをしておくことはとても大切です。そのため、有形、無形の資産の現状を把握し、将来にわたる人生のキャッシュフローを適切に見通して、早い時期から必要な処置を講じておくべきことは前回記事でお伝えした通りです。
自らの資産のうち、計数的に可視化できない無形の資産についてですが、それぞれに固有の健康、知識、経験、人脈、趣味等の他、公務員・自衛官にほぼ等しく授かっている無形資産があります。それが、崇高な職務の内容と、安定した収入が約束されていることから得られる社会的地位と信用であり、これを有形資産形成の観点からは「与信力」(Credit)と言い換えることができます。
例えば、「与信力」があれば、クレジットカードの発行やローンによる車の購入にあたり、よほどのことが無い限り、審査に落ちてこれらが得られないことはありません。我々はどうしても、既に与えられている物事を空気のように当然のことと思いがちですが、実はその価値は自らが感じている以上にとても大きいものです。この「与信力」を活用した資産形成要領の一つ、公務員・自衛官と相性の良い一手段として、不動産投資が挙げられます。
不動産投資の一般的な例は、都市部のマンションの一室又は数室をローンにより購入して賃貸に出し、ローン返済を賃料収入により相殺していくものです。いわゆる「大家」として不動産を運用することになりますが、物件の管理や家賃の回収等の業務を専門の管理会社に委託するため、公務員が禁ぜられている「副業」に当たることはなく、自らは職務に専念することができます。また、時間が経つにつれローン残債が賃料収入により減少していき、退職後にローン完済となれば、後は、定期的な賃料収入を年金の様に得られる有形資産を手にすることになります。無形資産の「与信力」を「時間」を活用して有形資産の「不動産」に形成していく、とも言い換えることができるでしょう。
もちろん、購入にあたっては、長期のパートナーとなる信頼できる不動産業者をしっかりと選定するとともに、物件の築年数、価格、立地、賃料等、資産としての価値をよく見極め、将来のキャッシュフローとの吻合を適切に図っておく必要があります。これらを怠らなければ、老後の安心を得るための処置として、不動産投資は有用な手段となり得るでしょう。
私自身の話となりますが、以前、様々な個人的悩みから自衛官を中途退職することを真剣に検討し、1年間の葛藤を経てようやくあるベンチャー企業から内定を得られたことがありました。この会社の仕事内容や理念には強く惚れこんでいたため、転職の第一歩を踏み出そうとしたまさにその時、これを思い止まらせた理由の一つが、これを機に自らの将来のキャッシュフローを改めて詳細に見積もった結果であり、更には冒頭に述べた「与信力」の大きさに気付かされたからでした。(理由はこれだけではありませんが…)
結果、自衛官として職務に専念する道を決意したのですが、将来キャッシュフロー見積の結論は、引き続き自衛官として奉職するとしても、将来への備えとして何らかの処置を講じておく必要がある、ということでした。中途退職の真剣な悩みが、ある意味、将来への備えを詳細に考えるいいきっかけになったのかもしれません。
ご参考までに、私自身が行った将来見積を結論だけ計数的に例示します。定年退職時、もし再就職ができなかった場合を想定、その時点で予想される貯蓄と退職金を切り崩しつつ、65才からは夫婦で年金を受給しながら、慎ましく生活をしていった場合、90才の時には手持ち額が約80万円にまで落ち込み、翌年には赤字に転じてしまうという試算結果でした。
これに対し、第一段として講じた手段が、不動産投資です。これにより、非常にシビアに見積もっても、90才の時の手持ち額は約400万円となり、赤字に転ずる年齢は95才となりました。さらに異なる点として、この時点では、築古ながらも資産価値のある不動産を所有しており、これを売却するという選択肢も残されることになったということです。併せて、現時点においてでも私自身に万一のことがあった場合は、団体信用生命保険によりローン残債そのものが無くなるため、以降は残された家族に定期的な賃料収入を生む資産が残されるという、遺族年金の様な副次的な効果も得られることとなりました。
如何でしょうか。私自身、定年後に再就職できるための健康や知識、経験、人脈等の無形資産を形成しておくことが如何に大切かを痛感するとともに、若くして定年退職を迎えた後再就職が全く出来ない最悪の場合を見越した、有形資産形成の処置が如何に求められているかを改めて感じているところです。
不動産投資は、株やFX、仮想通貨等、もし成功すれば一挙に大金を手にするような類のものではありません。その一方、時間をかけて着実に資産形成を図るための有用な手段の一つであり、取り組みは早ければ早いほどその効果は増大していくものであるということを是非、お伝えしたいと思います。