外貨建て金融商品は、国際情勢の変化等により円安が進行する場合のリスクに備えるための投資手法、つまり投資の掟の一つである「分散」の効果が得られる手段として有用です。その内の一つとして、前々回の記事において「外貨預金」を紹介しました。今回はその他の外貨建て金融商品である「外国債券」への投資について見ていきましょう。
外国債券投資の魅力は、利率の高さです。円建てでの預貯金はいうまでもなく、以前お伝えした、日本国政府発行の「個人向け国債」で最も利率の高い10年変動金利型であっても、利率は0.6%程度であるのに対し、米国債では約2%、新興国の国債では6~8%程度の利率が得られるものもあります。(なお利率の高い国債には、それなりのリスクも伴うことにも留意しておく必要がありますが、詳しくは後述致します。)
債券には、利子が付く「利付債」と、額面金額から利子相当分が割り引かれた価格で発行され、満期時に満額で償還される「割引債」(ゼロクーポン債ともいう)があります。
利付債を保有している期間中は、毎年1回又は複数回に分けられ、利払いとしての配当が得られるようになりますが、受けた配当金をそのまま更に同種または他種の金融商品に回していくように仕組みを作っておけば、もう一つの投資の掟である「複利」の効果も着実に得ることができるようになるでしょう。
また、外国債券には、円建てで発行される債券、いわゆる「サムライ債」と、発行体の国の通貨で発行される外貨建ての債券「ショーグン債」があります。既に外貨預金口座をお持ちの方は、「ショーグン債」の購入を検討してみるのは如何でしょうか。万一円安が進行していった場合においても、外貨預金と同様、円換算にあたり為替差益が得られるため、リスク分散効果を維持することができます。併せて、外貨預金以上の高い利回りを期待することもでき、有用な投資手法の一つとなり得るでしょう。
外国債券の取引にあたっては、まず初めに外国証券取引口座を開設する必要があります。近年大きく発展、進化を遂げつつあるネット系証券会社の多くは、スマホや自宅のパソコンから簡単に検索、申込手続を行うことができ、取引に当たっての売買手数料も安価であるため、お勧めです。外国債券に加え将来的に外国株式の取引を行う可能性も見据えつつ、取扱う銘柄の種類・数や、売買手数料、サポート態勢、スマホアプリの使いやすさ等から、自分のスタイルに合った好みの証券会社を選ぶとよいでしょう。
なお、外国債券の保有にあたっては、併せて生じ得るリスクについても十分承知しておくことが必要です。例えば、前述の円安とは逆に、もし円高が進行していけば債券価格が下落することもまた事実であり、これは「為替変動リスク」といわれます。その他、一般的に挙げられるリスクは以下の通りです。
「カントリーリスク」
政情不安定な国におけるクーデター等、急激な政治・経済情勢の変化に伴い、その国が発行する債券の価格が変動したり、利払いの履行に影響が及ぶリスク
「価格変動リスク」
市場金利の変動等により債券価格が変動するリスク(一般的に市場価格が上昇すると債券価格が下落する一方、債券の利回りは上昇する。)
「流動性リスク」
取引量が少ない債券などにおいて、買い手がつかずすぐに売却・現金化できなかったり、希望価格で売却できなかったりするリスク
これらを踏まえると、当初取り組むに適当な外国債券として、例えば、米国債は種々のリスクにも比較的バランスよく対応し得る安全なものが多いといえます。
まずは、この米国債の中から自分に合う銘柄を選定し、資産の一部を振り分けることを検討してみるのも一案でしょう。