ホントの寿命はどれくらい?…1つでは無い建物の耐用年数

投資用の不動産の情報をネットなどで集めてみると、意外に古い物件が並んでいることに気が付きます。アパートやマンションなどを見みると、築20年レベルを超える物も非常に多く、それだけを見ると「こんなに古くて大丈夫かな?」とも思えて来る人も多いと思います。中古の物件は利回りが良いことがあるだけに、耐用年数などについては非常に気になることでしょう。

しかし、街を見渡すと古い建物が多いのも事実です。実際、オフィス街を見ても古い高層ビルが現役で使われています。

では、建物の耐用年数はどの様にして決まるのでしょうか?ここでは、投資用物件を決める上での重要な要素、建物の耐用年数について解説したいと思います。

建物の耐用年数とは

建物の耐用年数…と聞くと、いくつかの答えが返って来ると思います。「資産価値が無くなった時点」「住めなくなった時点」「取り壊される時」…などがあることでしょう。

しかし、一般に建物の耐用年数というと「法定耐用年数」と「物理的耐用年数」が挙げられます。それぞれの耐用年数はどの様な物なのでしょうか。

法定耐用年数

法定耐用年数とは、建物の実際の耐用年数を指すのではありません。税法上の耐用年数で法的に決められた耐用年数を示します。つまり、「これくらいで寿命が来るだろう」と言った予想値のイメージです。

しかし、この数値は今の建築技術を必ずしも反映している訳では無く、実際の数値とは大きくかけ離れる場合もあります。

物理的耐用年数

物理的耐用年数は建物の実際の耐用年数を指します。ただし、この数値においても実際の耐用年数とは違う場合も少なくはありません。と言うのも、建物が本当に使えなくなる前に取り壊されることも多いからです。

例えば、都心部のオフィスビルを見てみると、築50年レベルの高層ビルが今も立派に使われています。しかし同じ鉄筋コンクリート造の建物であっても、まだ使えるにも関わらず、「用済み」と見なされて壊されることもあるのです。

ただし、最近は古い物件であってもリノベーションによって価値の底上げがなされ、新しいビルに打ち勝つ物も出て来ています。この動きによって、建物の物理的耐用年数も、また変わるかも知れません。

各構造の耐用年数

それでは、建物の耐用年数について、代表的な構造を例にとって紹介します。

木造

木造は法定耐用年数では22年と決められています。

しかし、実際には築30年、或いはそれ以上の築年数の物件は珍しくありません。もっと言うならば、古い街の場合は50年を超える古民家もリノベーションをされて立派に使われています。

木造は法定耐用年数では22年と決められています。

しかし、実際には築30年、或いはそれ以上の築年数の物件は珍しくありません。もっと言うならば、古い街の場合は50年を超える古民家もリノベーションをされて立派に使われています。

鉄骨系

鉄骨系は使われている材料によって異なります。と言うのも鉄骨系の住宅は断面が四角形の角パイプや、断面がH形のH鋼と呼ばれる資材をベースに造られているからです。そして、耐用年数は、この資材の肉厚によって決まります。

さて、この内、肉厚が薄い物は一般的に軽量鉄骨と呼ばれます。この鋼材で造られた建物は19で法定耐用年数を迎えます。その一方で、肉厚の厚い物は重量鉄骨と呼ばれます。耐用年数としては34年です。

それでは実際の物理的耐用年数は…これも法定耐用年数よりも一般的には長いです。しかし、鉄骨は腐食する弱点があるため、沿岸部など、金属腐食の条件が整い過ぎている場所などでは、耐用年数が落ちてしまうケースもあり得ます。

鉄筋コンクリート系

鉄筋コンクリート系は47年と、法定耐用年数は長いです。

これは鉄筋コンクリートの特性から算出された数値と言うことが出来ます。ご存知の通り、鉄筋コンクリートは鉄筋で中身を造り、その上にコンクリートを被せる構造となっています。

さて、鉄筋コンクリートの耐用年数は鉄筋がダメになるまで…と一般的には考えられています。しかし、鉄筋はコンクリートの中では基本的には腐食しません。コンクリートは強いアルカリを含むため、その環境下では鉄は錆びないからです。

ですから、鉄筋コンクリート造の建物は47年を超えても、多くの場合は使用可能なのです。

ただし、その原理は永遠不滅ではありません。空気中の二酸化炭素がコンクリートに接触すると、わずかばかりではありますが、そのアルカリ環境が侵されます。そうすると鉄筋周囲のアルカリ環境も破壊されてしまい、腐食リスクが高まってしまうのです。

尚、鉄筋が錆びると酸化反応のため、断面積が太くなってしまい、鉄筋周囲のコンクリートにヒビが入る場合があります。その場合、ヒビを伝わって雨水などが鉄筋に触れてしまいます。…鉄筋は更に腐食して建物を傷めてしまいます。

建築資材の寿命について

ここで、建物を構成する建築資材の耐用年数について述べたいと思います。

木材

まずは木材です。

木材は山から切り出した木材を使う場合と、工場で加工した集成材や合板に分かれます。

木材の耐用年数は長いです。木造の民家であっても30年、あるいは40年の物も多いですし、歴史的建造物を考えるならば、京都などにある歴史的建造物は数百年のレベルになります。

その一方で、集成材や合板ですが、こちらも非常に長い耐用年数を誇ります。林業関係者によると、集成材は50~70年程度は大丈夫…という話もあるくらいです。

鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリートですが、先にも挙げた通り、二酸化炭素によって浸食されてしまいます。しかし、その侵食スピードは条件によっては非常に遅くなります。

例えば、ニューヨークにあるエンパイヤーステートビルなどは築80年を超えています。これは歴史が証明する高耐久性と言えるでしょう。

投資用物件を購入する上での注意点

ここで、不動産投資についても考えてみましょう。

言うまでも無く、不動産投資には優良な物件が必要です。そして、建物の耐用年数が長いのであれば、仮に古くても大丈夫とも思えるでしょう。しかし、不動産を入手するのには注意点があります。

築年数によってはローンを組みにくくなる

不動産の耐用年数よりも物理的耐用年数は長いのですが、それでも法定耐用年数で見られる場合があります。

例えば不動産投資ローンです。

金融機関は不動産投資向けに融資をするときは、建物の経済的な価値を見ますが、それと同時に法定耐用年数も参考にされます。具体的には、法定耐用年数を超える期間のローンは組みにくくなります。

新耐震と旧耐震

建築基準法は時代と共に移り変わって来ました。耐震基準もその内の1つで、時代と共に変化しています。

さて、投資用不動産を買う場合…中古アパートやマンションを買う場合には、あまり古いと耐震性の劣る物件を選んでしまうことがあり得ます。

と言うのも、鉄筋コンクリート造の耐震基準は1981年に変わっており、それ以前の建物は耐震性で疑問があるケースがあるからなのです。

建物の周辺環境を知っておこう

建物は建てられた環境によって耐用年数が変わります。ですから、物件を購入する場合には周囲の環境の確認が必要です。

建物を傷める要因としては、例えば塩分などが良い例です。しかし、その他にも自動車などが出す排気ガスも悪条件になり得ます。排気ガスには窒素参加物が含まれていて、建物の部材にダメージを与えることがあるからです。

ですから、物件を購入する時には、周囲の環境にも注意を払うことが大切です。

まとめ

建物の耐用年数についてメインに紹介しました。建物のイメージが掴めたことと思います。

そして、その知識が不動産投資の物件購入の参考知識になることも把握出来たことと思います。

建物についての知識は不動産投資などでも重要です。情報を集めておきましょう。