生命保険の契約においては、解約返戻金という言葉を耳にすることがあります。解約返戻金はどれくらいもらえるのか、解約返戻金がもらえる生命保険は何か、気になっている方もいるでしょう。今回は生命保険に関する解約返戻金の概要をはじめ、種類や具体的な金額例などを解説していきます。
生命保険に関する解約返戻金とは?
解約返戻金とは、生命保険の契約において、途中で解約したときに支給される金額です。
子どもが高校や大学に進学するときに解約返戻金を支給してもらえば、教育資金として活用することもできます。そのほか、年金受給までの生活費にしたり、老後の趣味に費やしたりすることも可能です。
一般的に契約年齢や保険料の払込期間、経過年数によって金額が左右されます。
解約返戻金は保険の種類によっては、少ない金額しか戻ってこなかったり、そもそも支払いに対応していなかったりします。
解約返戻金が高い保険は、保険料が高くなる傾向です。反対に解約返戻金をおさえる代わりに保険料を安くしている保険会社の保険プランもあります。
このように保険料と解約返戻金の関係を知っておくと、生命保険の契約をするときにコストのイメージが湧きやすくなるでしょう。
解約返戻金の種類
解約返戻金の種類を知らないと、生命保険に加入する目的が曖昧になってしまいます。最低限おさえておきたい解約返戻金の種類は3つです。
まず、従来型です。満期に近づくほど解約返戻金の払戻率が高まり、戻ってきたときの解約返戻金を資産として役立てられます。保険料払い込み終了時点で解約返戻金の増加率が下がる点も知っておきましょう。
次に、低解約返戻金型です。解約返戻金の金額を減らす代わりに、保険料が安くなります。契約開始から保険料払い込み終了時点までが低解約返戻金期間と呼ばれます。
低解約返戻金期間に解約返戻金が徐々に増えていきますが、この期間を過ぎた時点で解約返戻金がさらに増加するのが特徴です。
最後は無解約返戻金型です。解約返戻金が戻ってこない代わりに、保険料が安くなります。定期保険や医療保険などで見かける種類です。
解約返戻金の計算
払戻率の計算式は下記の通りです。
払戻率(%)=解約返戻金÷払込保険料累計額×100
たとえば、払込保険料累計額が400万円であり、解約返戻金が410万円であったとしましょう。その場合、払戻率の計算式は下記の通りです。
払戻率
=410万円÷400万円×100
=102.5(%)
解約返戻金の金額例
たとえば、生命保険会社のオリックス生命では、終身保険RIZEという低解約返戻金型のプランを提供しています。公式ホームページで紹介されている契約例から解約返戻金を確認してみましょう。
年齢:30歳
性別:男性
保険料払込期間:15年払済
低解約払戻期間:15年
保険金額:300万円
月払込保険料:13,095円
この条件において15年経過直後に解約した場合、解約返戻金の額は237万円としています。
参考:30歳のお父さまが、お子さまの高校入学費用の資金準備に活用いただく場合(オリックス生命)
解約返戻金なしの生命保険
解約返戻金なしの保険として定期保険が挙げられます。
定期保険とは、契約で定められた一定の保障期間において、保障対象の人物が亡くなったときに保険金が支給される死亡保険です。
毎月支払う保険料は掛け捨てであり、基本的に解約返戻金がないことが知られています。ちなみに掛け捨てとは、支払った保険料が戻らない仕組みをさす言葉です。
生命保険会社の日本生命における定期保険に関する見解では、解約返戻金が少ないことを示唆している内容が見受けられました。
“一定期間にわたる万一への備えに適した保険です。いわゆる掛け捨ての保険のため、解約時の払戻金などはあまりありません。“
引用:定期保険とは(日本生命)
定期保険を契約するとき、解約返戻金の受取は基本的に期待できないといってよいでしょう。
ただ、保険期間が長いタイプの定期保険の場合、一定時期まで解約返戻金が増えていくパターンもあります。ピークとなる時期に解約すれば、一定の貯蓄額としてお金を獲得できます。
したがって、定期保険だからといって解約返戻金が必ずもらえないわけではない点にも注意が必要です。
解約返戻金がある生命保険
解約返戻金がある生命保険として代表的なのが終身保険です。
終身保険とは、一生涯にわたって死亡保障が継続される生命保険として知られています。掛け捨てタイプの定期保険と違って、保険料が高い傾向なのは知っておきましょう。
生命保険会社の第一生命によると、終身保険の解約返戻金は、基本的に保険料の累計額を下回るという見解を示しています。
“一生涯にわたって死亡に備えられます。経過に応じて解約返還金が増えます。解約返還金は多くの場合、保険料の累計額を下回ります。“
引用:終身保険(第一生命)
終身保険の契約を結ぶときは、解約返戻金がもらえるということだけに安心しないように注意が必要です。
生命保険の解約返戻金に関する気になるQ&A
解約返戻金に関する気になる疑問について、Q&A形式でお答えしていきます。
Q1.解約返戻金と満期保険金の違いは?
A1.支払われるときの理由が異なります。
満期保険金は、生命保険の契約を無事に満了したときに支払われる金額です。
そもそも満期とは、保険期間の終了であり、保険の効力が切れるタイミングです。つまり、満期保険金は解約によって支払われるわけではありません。その一方で、解約返戻金は保険の効力が切れる前に受け取る保険金です。
ちなみに満期保険金がもらえる保険としては、養老保険が代表的です。万が一のときに受給できる保険金と、期間満了時の満期保険金が同額であるという特徴を持っています。
Q2.生命保険を解約するデメリットは?
A2.解約すると契約をもとに戻せません。
生命保険の解約返戻金を受け取るには契約の解除が条件となりますが、デメリットが気になる方もいるでしょう。
生命保険を解約すると、保障が受けられなくなるだけでなく、契約をもとに戻せなくなります。
また、生命保険に加入するとき、年齢を経るごとに毎月支払わなければならない保険料が高くなる傾向があります。当然、健康状態が悪くなってしまえば、加入できない生命保険もあります。
Q3.生命保険の解約返戻金には税金がかかる?
A3.所得税や源泉分離課税、贈与税が発生します。
生命保険の解約によって解約返戻金を受け取った場合、保険料の負担者や受取人の関係によって、異なる税金が発生します。
契約者と受取人が同一人物の場合、所得税あるいは源泉分離課税です。たとえば、契約者が夫であり、受取人が夫のケースが挙げられます。
契約者と受取人が異なる場合、贈与税です。たとえば、契約者が夫であり、受取人が子どもであるケースが挙げられます。
ちなみに解約返戻金は一時所得として取り扱われます。一時所得とは、営利目的の継続的行為から発生する所得以外の所得です。
基本的にほかの所得と合算した結果として、課税の対象となる金額が20万円を超えた場合、確定申告をしなければなりません。
場合によっては例外があるので、確定申告の必要性について不安がある方は、税務署への相談をおすすめします。
生命保険の解約返戻金をシミュレーションしよう!
以上、生命保険の解約返戻金について解説しました。
いざ生命保険の契約を解約したときに、解約返戻金が想定以上に少なければ、ライフプランが崩れてしまいかねません。
生命保険を契約する前に、解約返戻金のシミュレーションを行うことが大切です。
最近では、ホームページで保険料のシミュレーションとともに、解約返戻金までシミュレーションできる保険会社もあります。
解約返戻金の目安を知るために必要に応じて活用してみてはいかがでしょうか。