近年になって「Fire」という人生設計のやり方が人気になっています。
Fireは「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った造語となっていて、日本語に訳すと「早期リタイア」や「経済的自立」という意味があります。
こちらでは、Fireとはどのような人生設計の方法なのかということについて詳しく紹介していきます。
Fireの定義について
Fireの定義については、「早期リタイア」と「経済的自立」を組み合わせたものだと考えれば問題ないでしょう。
早期リタイアというのは、「定年まで勤め上げずに、定年前に早期退職をして第2の人生を歩む」ということを意味しています。
経済的自立に関しては、「お金に困らないで自由に生活をする」ということを意味していて、このように聞くと「お金持ちや富豪の考え」とイメージしてしまう人も多いかもしれません。
これは、日本では「定年まで勤め上げて、退職金を受け取り、その後は年金で生活をする」というイメージが強すぎるために根付いていないだけで、海外では若者を中心にムーブメントを起こしています。
「何のために働いているのか?」という問いかけに対して、少し古いデータとなりますが2013年に内閣府が公開したデータでは48.9%もの人が「お金を得るために働いている」と回答しました。
近年では様々な問題もあり、この数字はさらに大きくなっているものと予測できます。
つまり、2人に1人程度の人がお金を得るために仕事をしているということになるので、逆に考えれば「お金が得られるのなら今の仕事をしていない」とも考えられます。
このような考え方が起こっている中で、若者も中高年世代も「早く引退したくてたまらない」というのが現状です。
そのため、Fireという「早期にリタイアをして、経済的自立を目指す」という考え方が注目を集めています。
Fireとなることのメリットやデメリットについて
Fireは「早期リタイア」とか「セミリタイア」とも呼ばれる人生設計の一つですが、簡単に言えば「定年前に退職金を受け取って退職する」という仕組みです。
日本でFireという考え方が意識され始めたのは2019年に金融庁が報告した「老後2000万円問題」がスタートだとされています。
こちらでは、Fireを行うことのメリットやデメリットに合わせて、Fireが意識されることになった老後2,000万円問題についても合わせて紹介していきます。
01:老後2,000万円問題とは
老後2,000万円問題というのは、定年退職をしてから年金で生活をすると考えた場合に、預貯金として2,000万円が無いと生活が苦しくなるという問題のことです。
現在の日本企業の定年退職の年齢は60歳~65歳程度となっていることが多いですが、人生100年時代とも言われる時代となっていますので、定年退職をしてから30年以上の人生が残されています。
この時代を生き抜くためには、働き盛りの世代に2,000万円以上の預貯金を残さなければならないので、資産活用をしてリタイアを早めようというのが、Fireが流行っている理由でもあります。
02:Fireを行うことのメリットとは
若い世代にも中高年世代にも人気が高まっているFireという人生設計の方法ですが、こちらではFireを行うことでのメリットについて紹介します。
Fireのメリットとしては、主に下記の3点が挙げられます。
- 時間にゆとりを持てるため、退職後の人生を楽しめる
- 今までのような仕事をしなくても、好きなことで生きていける
- 年齢的に今しか出来ないことが出来る
このようになっていて、具体的なポイントについて簡単に紹介します。
Fireは早期リタイアをした上で経済的に自立している状態となるために、退職後の時間はたっぷりとあり、人生を楽しむことが出来ます。
次に、今まではお金のためにあくせくと仕事をしている状態でしたが、お金の心配をする必要は無いために、好きなことをして生きていくことが可能です。
最後に、通常の定年退職とは異なり、早期に退職をするため体力的にも精神的にも若いので、年齢を重ねてからは出来ないことも若ければ可能なことは沢山あります。
このように、残りの人生でお金の心配をせずに有意義な生活を送ることが出来るのがFireのメリットとなります。
03:Fireを行うことのデメリットとは
上記ではFireのメリットについて紹介しましたが、こちらではデメリットについて紹介していきます。
まずは結論として、Fireのデメリットとしては下記の2点が挙げられます。
- うまく資産活用をしないと収入源が無くなる
- 社会的な繋がりが無くなるために、孤独になりやすい
このようになっていて、Fireを実行する前は会社勤めをしているために、給料という形で毎月一定の金額を収入として得ることが出来ましたが、Fireをすると、給料という形での定期収入は無くなります。
次に、会社に通うということが無くなるために、多くの人は社会的な繋がりが希薄になるでしょう。
そうすると、孤独になりやすいために注意が必要です。
この2点のデメリットを防ぐためには、Fireをした後も資産運用などをして定期的な収入を得ることと、自分の趣味やサークルなどの活動で社会的な繋がりを持っておくことが必要です。
どちらのデメリットに関しても「自分から活動することが出来る人」にとってはデメリットにならないので、自分の生き方から見直すのが良いでしょう。
働かないという選択肢を取ることの自由とは
日本人はワーカーホリックに代表されるように、「仕事をしすぎている」という特徴があります。
世界的な基準で見ると生産性は低いので、海外の人からは「労働時間は長いけど、仕事をしているわけではない」と見られることもあります。
しかし、日本人の感覚としては「プライベートを犠牲にしてでも働いている」という印象が強いでしょう。
よくある光景としては、40年間サラリーマンとして勤め上げて、定年退職してからは覇気が無くなり、認知症を発症してしまったというようなケースも少なくありません。
このように、日本人にとっての「仕事」というのは「生活の一部」となっていて、「選択肢の一つ」ではない人が多いです。
そのため、仕事を一生懸命している間は「出来ることなら働きたくない」と考えている人が多いですが、いざ仕事がない状態になると「何をして良いのか分からない」となってしまう人も多いのが問題です。
何も考えずにフラットな視点で物事を考えるのならば「働かなくても生活が出来る」というのは「自由」と同義になるのですが、多くの日本人は自由になると何も出来なくなるケースが多くなっています。
これらのことから、Fireをしようと考えている方は「何のために早期リタイアをするのか?」ということや「早期リタイアをした後の生活はどうするのか?」ということをキッチリと考えなければいけません。
Fireをしたあとも人生は続いていきますので、「働かない自由とは何か?」ということを十分に考えて行動しなければならないことを忘れないでください。
まとめ
今回は、Fireとはどのようなことを指すのかということについて詳しく紹介してきました。
一昔前までは、早期リタイアをすることが出来るのは十分に資産を持っている人だけという考えが一般的でしたが、近年では若い頃からキッチリと人生設計を立てて行動する人も増えています。
日本は海外に比べると「お金に関する教育」をしない国でもありますので、キチンとお金に関する知識を持っていると、残りの人生を有意義に過ごすことが出来ます。